イベントコラム
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森の中に身を委ねたら、見えてきたものとは

最近、私にとって【森】という存在は、益々大きなものとなってきています。

そして、森の素晴らしさや神秘を教えてもらったのは、他ならぬ屋久島の森でした。

その流れで、これまで東京-屋久島を行き来するスタイルをやめ、来年3月には子供二人連れて屋久島に移住して、人と森を繋げる活動を本格的にしていきたいと考えていて、現在【健康、感性、地球との対話】などのキーワードで今後の事業を具体的に構築しているところです。

そのため、最近では機会があれば、人と森を繋げる様々な活動や関係者と会っていて、先日は、一般社団法人森と未来が提供している企業向けTIME FOREST研修の体験会に参加してきました。

私たちは、普段何気なく、気分転換や行楽で自然や森の中に入ることがあります。ただ、そこからもう一歩踏み込んで、自然の中に身を置きながら、ストレス軽減はもちろんのこと、五感をフルに開き眠っていた感性を呼び覚ますことで、本来の【自分らしさ】を取り戻していく、そんな方向を見据えたプログラムを現在屋久島で展開することを考えているのですが、今回参加した体験会からも参考になることがたくさんあり、これから私の感じたことを書こうと思います。

森に入って最初にしたことは、目を閉じること、そして見る以外の感覚に意識を向けることでした。そうすると、様々な鳥たちの歌声や川のせせらぎの音が聞こえ始め、風が頬にあたる感覚が意識され、手先の冷たさを感じ始めました。

五感とは、【見る、聞く、触る、食べる、香る】のことですが、私たちは普段ほとんどが見るという行為に支配されていて、視覚が五感の約9割と言われています。そのため、目や脳に疲れを感じることが多く、頭痛や肩こりはそこからやってきている場合があります。

さて、森の中をどんどん進みながら、私たち参加者は、雨上がりの葉っぱの上を歩く感触を楽しんだり、山椒の葉っぱやクロモジの茎をとって匂ってみたり、太陽の方向に手をのばしてその温もりを感じてみたり、たくさんある木々の間を抜けて一番遠くの木を見つけ遠近感覚を意識してみたりしながら、五感を通して、自然に浸る体験をしていきました。

途中、目的を持たず、次に何があるかを考えずにゆっくり一人で歩くソロウォークでは、まさしく「今ここ」をマインドフル状態で自然の中を堪能しました。途中途中で、ある特定の葉っぱや赤い木の実たちがふと目に入ったのですが、なぜかそれらの植物が「こっちを見て!」と話しかけてくる、そんな感覚を持ちました。

土の中は、歩いているだけでは、見えませんが、様々な木の根っこが譲り合いながらも方々に張り巡らされ、虫や微生物は忙しく活動するなど、お互い助け合いながら持ちつ持たれつの関係で生き延び、共存しています。

中でも、私が今回一番印象に残っているのは、竹林の中を歩いた時でした。

落ちている木の棒を拾って、みんなでその竹をコンコンとたたきました。

そうすると、何とも言えない音が鳴るではないですか。

同じ竹であっても、上のほうと下のほうの部分では出る音が違うし、竹が違うと出る音も違ってくる。さらに、みんなで一斉にたたくと、たちまち音楽が奏でられ、その音が、森の中に心地よく広がっていったのです。それは、意外にも私の中では驚きと発見となり、嬉しくて楽しくて子供心に戻った気分になりました。

もう一つ、印象に残ったのが、秋の落ち葉の上にシートを敷いて、ゴロンと寝っ転がる体験です。見上げるとその日は真っ青な秋晴れの空が広がり、上からゆっくりと黄色オレンジ色した落ち葉がヒラヒラと舞い落ちてきているのが見えました。その動きは、風と共に揺らぎを見せ、まるで独自の音楽を奏でているかのうに思え、そこにも森の音が見えた気がしました。

森を出て少し歩くと、見事に真っ赤なもみじが見え、その奥に100年続く趣のある囲炉裏料理店が現われました。店の入口には開店当初からあるだろうと思われる100歳近いタヌキの石像が立っていて、やたらと存在感を見せていました。昼食で囲炉裏を囲んだ料理を堪能し、味覚をフル稼働させた後は、場所を移動して、みんなで振り返りの時間がありました。

そこでは、其々が感想を述べるのではなく、森の中で得られた感覚を各自がクレヨンで画用紙に表現していきました。

私は、印象に残った竹林や落ち葉を描き、竹たちで奏でられた音や、揺らぎの音を出す落ち葉たちの様子を表現しました。そこには、縦の線で描かれた竹や落ち葉、そして横にはそれらが奏でる柔らかい曲線で描かれた音が見えてきました。それはまるで自然界が織りなす美しい姿となって見えてきたのです。

都会に住む私たちは、自分と他者と常に切り離し、その間に空間を作り自他をはっきり分けて生きている人が多いですが、私がこの絵を描きながら感じたのは、この見えない空間さえも、実は縦や横にいろんなものが美しいほどに共存していて、すべてのものが繋がって生きているということが、私の心の中でじわじわと感じられたのです。

【すべては繋がっている】という概念は、頭ではわかっていても、体験しないとわからないことも多く、またその体験も其々に違いますし、正しい・間違いというものでもありません。それは、非日常のような体験に思えますが、実は私たちの身近にある森に入り【自然の中に身を委ねる】ことで、その意味が自分なりに少しずつ見えてくるような気がしています。

そして、そこから私たちが地球と対話するプロセスが始まるような気がしています。
そんな体験を屋久島でみなさんにしてもらいたいと思い、現在新しいプログラムを構築しているところです。乞うご期待!

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